Higher
「Higher」は、私にとって「Endless SHOCK」の中で一番好きなナンバーであり、聞いていて一番苦しくなるナンバーでもある。
この曲は、カッコイイメロディーと、トラヴィスが振付をした激しいダンスが気持ちを高揚させ、奮い立たせてくれる。
同時に、コウイチに
「そこが本当に目指した場所か?」
「そんな現状でお前は満足しているのか?」
と、ナイフを喉元に突き付けられて問われているような気持ちにもなる。
常に最高のショーを届けることを考え、高みを目指して自らを追い込み続けるコウイチ、そして、光一さん。
その存在は、気高くて、尊くて、眩しくて……私の憧れだ。
でも彼は眩しすぎて、ふと自分と比べて、自分の未熟さや気持ちの弱さを嫌でも思い知らされる。
きっとヤラやウチもこんな気持ちを味わっていたんじゃないだろうか。
昨冬、私は“普通の人生”のレールを飛び降りた。半分は勢いで、半分は現状ではダメになっていくと思ったから。
自由の身となり、晴れやかな自分で上京し、帝国劇場で観劇した「Endless SHOCK 2017」。
5回目となる生の「Higher」は、これまでになく私の胸に突き刺さって届いた。
心臓をぎりぎりと抉られている感覚がいつまでもなくならなかった。
「そこが本当に目指した場所か?」
「その輝きが全てなのか?」
「そうじゃないだろ 気づいてるはずさ」
「何もかもが空虚 そうだろ?」*1
耐え難くて、逃げるように離れて、一息ついて。 先のことを全く考えずに、いや、考えないように目を逸らしていた私には、 コウイチがヤラへと問うこのまっすぐな言葉が、自分の状況に当てはまりすぎて、息ができなくなった。声を殺して号泣した。
頭を殴られたようだった。
何のためにハイリスクを冒してレールを外れたのか。
私は何を呑気に帝劇へ来て浮かれていたのか。
23歳の誕生日の夜、コウイチに現実を突きつけられ、夢の余韻に浸りながら泣いた。
だから、翌日の帰りの新幹線のなかで、ブログタイトルを変えた。
自分がこの空虚さから目を背けずに
何が大切なのか 心に問いかけて
目指す場所を定めて そこに立つまで
帝劇には、東京には、来ないでおこうと思った。
私には、コウイチに夢を見せてもらう資格はないと思ったから。
それは、「Endless SHOCK」を心底大好きな私が、SHOCKと誠実に向き合った結果のケジメだった。
それから悩んで、目標を明確に定めた3月末、目指すゴールをイメージした。
「この挑戦をやり遂げて、いい結果を手に入れて、9月に晴れやかな気持ちで梅田SHOCKを観に行く」
4月1日から本腰を入れて取り組んだ、人生で最大の背水の陣。
無謀でしかない挑戦だった。でもやるしかなかった。
上手くいかなかったらどうしよう、このまま這い上がれずに人生終わっちゃうんじゃないか、と、ずっと不安だった。
何度も心折れかけて、その度に「Higher」を聴いた。
「何回つまずいたって立ち上がればいいのさ」
「立ち止まるのはもうやめだ」
前しか向いていないコウイチの言葉は、苦しくもあった。
振り返りたいことばかりで、後悔ばかりで、でもそんな時間も余裕もなくて。
だから、いつも「Higher」を聴いて、コウイチの走り続ける姿を思い出して、前を向いた。
そして、9月。 私は晴れやかな気持ちで梅田芸術劇場にいた。
自名義では落選してしまったけれど、お誘い頂いて、「Endless SHOCK」 を観てきた。
私は、奇跡的に、3月末にイメージしたゴールを、現実にすることができた。
本当に、本当に、嬉しかった。
第2幕、インペリアル・ガーデンシアターのステージ。
人生6度目の生「Higher」は、相変わらず最高にカッコよかった。
前回とは180度反対の意味の涙が込み上げた。
あぁ、私、ちゃんとやり遂げて、胸を張ってコウイチを観にきているんだ、と実感した。
コウイチも、カンパニーも、みんな、帝劇の時よりもパワーアップしていて、さらに素晴らしいショーになっていた。 また「最高」を更新された。
負けていられないな、私も頑張らないとな、と思いながら、梅芸を後にした。
この半年の経験を通して、「Higher」は、私の人生のテーマソングになった。
この曲があったから頑張れて、望む立場を手に入れた。
たかだか5分半の歌で、何をそんなに大袈裟な、といわれるかもしれない。
けれど、この曲には、そして「Endless SHOCK」には、誰かの人生を動かすようなとてつもない引力とエネルギーに溢れている。
「そこが本当に目指した場所か?」
いつまでもこの自問自答を続けて もっともっと貪欲に高みへ昇っていきたい。
そして、1人の「Endless SHOCK」ファンとして、コウイチに恥じない自分でいられるように努力し、 コウイチの見せてくれる夢の世界を、これからも胸を張って観に行きたいと思う。