西へ、東へ、どこまでも

硝子の少年も WAになっておどって おみくじHAPPYになれば ええじゃないか!

君がいた物的証拠は残らない

めでたく、いわゆるジュニア現場へのデビューを果たした。
覚悟はしてたけど想像以上にシビアな世界で、夢を観ながら現実の厳しさを思い知らされた。


これまではデビュー組の公演ばかり観ていた。
SHOCK観劇を機に、ふぉ~ゆ~が気になりだして、ふぉ~ゆ~の舞台も観に行った。
意識したことはなかったけれど、観てきた公演はすべて座長公演か、もしくは、メインキャストとして扱われる舞台だった。



お邪魔した「ジャニーズ・フューチャー・ワールド」では、私の推しジュニアくんは座長ではなく、メインキャストでもなく、「いわゆるジュニア」の立場だった。


大々的に貼られたポスターに、彼の名前はない。もちろん、写真もない。
初日の幕が上がるまで、本当に出演するかどうか確証はなかった。
噂と希望的観測を頼りに、出演を信じてチケットを手に入れようと画策した。
初日の幕間、出演しているという情報にホッと一息つく。
そして、待ちに待った観劇当日。
いざ会場へ乗り込むと、パンフレットにさえ、名前はない。
オリジナルフォトセット、ステージフォト。こちらにも、彼の姿はない。


座長公演、メインキャスト公演に慣れきっていた私は、梅芸ロビーに張り出されたグッズ見本用の壁を見て現実の厳しさを思い知ったのである。
今までだと、私の好きな人は当たり前にこのロビーのボードに写真が飾られていた。パンフレットにも個人インタビューとソロショットが載っていた。
それが、なかった。

「選ばれた者」と、「選ばれなかった者」との間にある高い壁が、初めて見えた。


幕が開いて、ようやく、彼の姿を見ることができた。
本当に出演していた、よかった。
その気持ちでほっとすると同時に、いつも以上に一挙手一投足見逃すまいと凝視している自分がいた。
きっとこの舞台は映像化されないし、グッズ類にも彼は映っていない。
ということは、彼がこの舞台に立っていた証拠は、観客である私の記憶だけ、ということになる。
それを無意識に感じていたのか、観劇後数日経った今でも思い出せるほど、彼のことを観ていたらしい。


衣装、立ち位置、台詞、見せ場。
メインキャストとの差は歴然としていて、彼がこれから乗り越えなければならない壁が、具体的なハードルとして舞台に投影されていた。


ジュニアを応援するって、こういうことか。
これに何年も何年も耐えて、実現するかどうかも保証されないデビューという夢を信じ、応援している人を揺らがず信じて、諦めずに応援することか、と。


重かった。「ジュニアを応援するにあたっての覚悟」というか、そういった類いのもの。
舞台はジュニアくんたちの若さと勢いに満ちたきらきらした世界だった。
それを観ながら痛感した「ジュニア応援の厳しさ」。
それが私のはじめてのジュニア現場の記憶になった。


物的証拠は残らなくても、君がそこで全身全霊踊っていた事実は、私が忘れないから。
Back Fireになった瞬間、笑顔が弾けて、全身からこの曲を踊れる喜びを迸らせて、舞台上にいる誰よりも輝いていた君のことを、私はこれからも応援したいと思ったから。

新米ジュニアファンとして、探り探りやっていくことに決めた。


だから、応援させてください。
親愛なる同世代、ちりめんじゃこくん。